ソフトダーツ世界チャンピオンを決めるTHE WORLD 2013 GRAND FINAL。世界中から一流のプレイヤーたちが香港に集った。その頂点に立ったのは、ローレンス・イラガン。
「ここまで来るのは長かったですね。やっと勝つことができました」
とイラガンは言う。毎年優勝を期待されるこのフィリピンの英雄は、2011年のGRAND FINALではベスト8、2012年はベスト16という成績にとどまっており、今回が念願の初優勝となった。
会場のざわめきが大歓声に変わった。
イラガンがインブルを連発したのだ。イラガン自身が最も印象的な試合のひとつだった、という準々決勝の対スティーブン・バンティング戦。LEG2クリケットの出来事だった。
インブル-インブル-インブル。
インブル-S17-インブル。
インブル-S20-D17。フィニッシュ―。
その瞬間、会場に大歓声が起こった。点差はわずか3点。757対760。
両プレイヤーの実力や実績、そして勢いなどを考えると事実上の決勝戦というファンも多い。この日、バンディングは圧倒的な強さを見せつけていたが、イラガンはLEG1、LEG2とブレークし3-1で快勝した。
振り返ると、この大会は波乱の連続だった。
世界中から強豪が集まるGRAND FINALは、誰が勝ってもおかしくはないハイレベルな大会である。逆に言えば誰が負けてもおかしくはない。事実、レイ・カーバーや、ダリル・フィットン、勝見翔、星野光正たちが初戦敗退するなど、決勝トーナメントの早い段階で強豪たちが次々に姿を消した。
ベスト8進出を決める試合でも多くの優勝候補たちが敗れた。
前年度GRAND FINAL優勝者である日本の鈴木猛大は、同国の橋本守容に惜しくも敗退。さらに今シーズンのレギュラーSTAGEで2度優勝しているフィリピンのロナルド・ブリオネスは、イギリスのスティーブン・バンティングに一歩及ばず敗れる。そしてSUPER DARTS 2013の覇者スコット・カーシュナーも、ベンジャミン・ダーシュにベスト8進出を阻まれることになった。
決勝戦。過酷なサバイバルを勝ち抜いたのはフィリピンのイラガンとペレス。
「彼は僕より年が下で、ずっとそばで僕のプレイを観察し、テクニックに関してもよく質問される間柄です」とイラガンは言う。今回の決勝戦は、互いの手の内を知り尽くした者同士の対決となった。
ファイナリストのイラガンは舞台に上がる直前に、これまでシーズンを闘ってきた疲労やプレッシャーのせいか嘔吐している。そしてもうひとりのファイナリストは、2年連続で決勝進出のペレス。
試合の主導権を最初に握ったのはペレスだった。LEG1を先行したペレス。しかし、プレッシャーのためか、本来のパフォーマンスを出し切れず、試合が進むにつれイラガンのペースに。イラガンはダイナミックかつしなやかな野性的なプレイスタイルで、主導権を取り返し逆転。イラガンのリード3-1で迎えたLEG5。ようやく本来の実力を見せ始めたペレスだが、それ以上のプレイを見せたイラガンには一歩及ばず。4-1でイラガンがこの対決に勝利した。
「私は人生の半分をダーツに捧げてきました。THE WORLDはそんな私の人生を変えてくれました」
と試合直後のイラガンは語った。
「この大会、そしてそれに携わる方々を私はファミリーだと思っています。応援してくれた皆さん、特にフィリピンのファンの方々、いつも支えてくれてありがとうございます」
年々、レベルが上がっているTHE WORLD。来年はより熾烈な戦いになることが予想される。今年のTHE WORLDで描かれた勢力図が、来年どんな変化を遂げるか注目だ。
THE WORLD 2013 GRAND FINAL DVD発売決定
・2014年3月に発売予定。詳細は後日おって発表いたします。お楽しみに。
-THE WORLD 2013 GRAND FINAL-
【試合結果:Quarter Final Match / Semi Final Match / Final Match】